クレジットカード大国アメリカ

クレジットカードって恐ろしい側面もある。

アメリカのクレジットカード事情

クレジットカードといえば私は最近までアメリカにおりましたので、アメリカ人のクレジットカード依存についてお話しします。たとえば食料品をメインに扱うスーパー、レジでカードを出すと必ず「デビットでのご利用ですか?それともクレジット?」と聞かれます。デビットは日本ではあまり普及しておりませんが、口座残高が請求額ぶんは確実にあると確認されるとその場で引き落とされるシステムです。その場でATMにつながるようなものなので借金の要素はなく健全ですし、人々は紛失や盗難のため現金はせいぜい数十ドルしか持ち歩かないアメリカではとても便利です。
私はいつも「せいぜい1回の買い物が30ドルくらいの食料品をクレジットにする人がそんなにいるのかな?」と思っていましたが、たくさんいるのですね。それどころか今年の夏あたりまでたいした年収もないのにクレジットカードで分不相応な豪華な生活を楽しむ人たちがたくさんいました。この背景にはミニマムペイメントというシステムがあります。ミニマムペイメントとは日本語で最小支払額を指します。日本で言うリボ払いと似ていて月々最低払わなくてはいけない金額のことですが、品物ごとではなく借入額全体での額です。アメリカでは典型的なミニマムペイメント金利は2%です。
わかりやすいようにドルではなく日本円に置き換えて説明すると、月収は50万円の、限度額200万円のカードを5枚所持する利用者が限度額いっぱいまで使って200万円×5枚=1千万円の買い物をしたとしましょう。毎月の返済は20万円で済んでしまうのです。しかも全額を支払うまでの期限はなく、保証人や担保も要求されないので、カード利用者が何らかの理由で死亡してしまえば帳消しです。つまり本人が利息をえんえんと払わされても良いならその借金自体は死ぬまで返さなくとも良いということになります。ご想像に難くないでしょうが、金銭面での自己管理がしっかりしていない利用者にはと非常に危険なものです。ミニマムペイメントシステムを利用した、消費者の実際に自由に使っても安全であった額をはるかに通り越した、膨大なクレジットカード利用額が商品やサービスの売上げとしてアメリカ経済に貢献していたわけです。いくら死亡したら帳消しといっても失業などの可能性を考えたら私にはできない使い方ですけれども。
私の心配どおりアメリカでは昨年のリーマンショック以降、月々支払うミニマムペイメント額すら払えずカード破産者が激増し、カード会社は債権放棄を余儀なくされました。アメックス社などは会社の存続すら危うくなり米財務局から緊急の公的資金を受けました。破綻するとアメリカ経済への打撃が懸念される大手金融機関の存続が危うければ救済すると法律できまっているからです。さすがのアメリカ人もこれに懲りたのか、単に不景気で買い物自体が減っているのかアメリカの経済新聞などを読む限り、今日ではクレジットカード利用もだいぶ減っているそうです。